この記事では、BBCが制作した世界史の壮大なドキュメンタリー『大世界史』を紹介していきます。
この記事を読むと、次のような内容について知ることができます。
- BBC『大世界史』を視聴して得られること
- BBC『大世界史』を読み解く視点
- BBC『大世界史』を視聴する方法
それでは、BBC『大世界史』について見ていきましょう。
BBC『大世界史』とは?
BBC『大世界史』は、BBCが制作した世界史の壮大なドキュメンタリーです。
この歴史ドキュメンタリーは、BBCの綿密な調査・検証、編集による高品質なコンテンツとして定評があります。
BBC『大世界史』3つの特徴
BBC『大世界史』には、次の3つの特徴があります。
- 人類の始まりから現在世界までの70000年の歴史が範囲である。
- 人類の発展において重要な転換点となった出来事に焦点を当てている。
- 再現ドラマとコンピューター・グラフィックス、世界各地の映像で構成している。
BBC『大世界史』視聴のメリット
さらにBBC『大世界史』には、動画コンテンツならではの「映像の持つ力」があるので、
- 思考の整理
- 記憶の定着
にも役立ちます。
BBC『大世界史』を視聴して得られること
『大世界史』を視聴すると、例えば、次の課題や論点について考えを深めることができます。
- 自然との闘い
- 富の再分配 – 奪い合いと分け合い
- 精神(宗教やイデオロギー)と権力の関係
- 科学技術と権力の関係
- 社会の再編と分断
これらのテーマは、現代も続く対立や共存についての課題にも通じるものです。
人類の始まりから20世紀末までの70000年という長い期間を振り返ることにより、世界史を大きな視点で考えることができます。
それと同時に、このドキュメンタリーでは、
- 私たちはどこから来たのか?
- 私たちはどこへ行こうとしているのか?
という哲学的な問いかけをし、答えとなる手がかりを提示します。
BBC『大世界史』の構成と特徴
壮大なテーマ:人類の始まりから現在世界まで
『大世界史』は、人類の発展において重要な転換点となった出来事を再現ドラマとコンピューター・グラフィックス、世界各地の映像で構成されたドキュメンタリー番組です。
『大世界史』は、次のような8つのテーマで構成されています。
- 文明のあけぼの 7万年前~
- 帝国の勃興 3000年前~
- 宗教と剣 2000年前~
- 東西の邂逅 5世紀~
- 略奪者の時代 15世紀~
- 自由への闘い 18世紀~
- 産業革命の衝撃 19世紀~
- 戦争の世紀 20世紀~
「思考の整理」と「記憶を定着」に役立つ映像
動画コンテンツならではの長所に、映像の力があります。
さまざまな映像で構成された『大世界史』は、思考を整理するとともに、記憶を定着させる効果があります。
例えば、印象に残った映像の1つに、スペインのセビリア大聖堂の黄金で輝く祭壇衝立(ついたて)があります。
それは、世界一高価な祭壇衝立(ついたて)だといわれています。
その荘厳さに驚くとともに、宗教と暴力が一体になった象徴の1つのように思えました。
その財源は、インカ帝国から奪ったものだからです。
このように、セビリア大聖堂の黄金の祭壇衝立(ついたて)の映像と、大航海時代のスペインの海外侵略やインカ帝国での略奪を結びつけて記憶することができます。
こうして、思い出す手がかりを1つでも増やすことができます。
『大世界史』を読み解く視点
ここでは、『大世界史』を読み解く視点を2つご紹介します。
1つめは社会変革、2つめは人々が社会や環境に与えた影響です。
社会変革
まず、社会変革について考えてみます。
社会変革は、
- 農業革命
- 産業革命
- 情報革命
の3ステップで考えることができます。
農業革命
最初の大変革は、狩猟や採取の自給自足の生活から、農業社会への移行です。
農業革命は、人類が、自然に変化を加える存在へと変化するきっかけになります。
また、自然災害との闘いが始まります。
その後の人類は、地球の環境や生態系を破壊する存在になります。
余った作物は、貧富の差を作り出します。
豊かさを求めて、権力・権威。暴力による侵略と支配が始まります。
現在に通じる帝国や民主制といった統治システムが成立します。
産業革命
2つめの大変革は、農業社会から工業社会への移行です。
産業革命によって、人類が、自然の力だけでなく機械の力を手に入れます。
化石燃料は、現在の気候変動につながる環境破壊も引き起こします。
産業革命は、大量生産を可能にします。
大量生産には新たな市場と原材料が必要になります。
新たな市場と原材料を求めて、イギリスを中心とする欧米列強諸国は、アジアやアフリカなどを植民地にします。
産業革命は、工場を経営する資本家と賃金を得る労働者を生み出しました。
劣悪な労働環境や貧富の差の拡大は、労働運動・社会主義運動のきっかけになります。
このような背景で生まれた帝国主義や共産主義は、20世紀の2度の戦争や大量消費社会に大きな影響を与えます。
情報革命
3つめの大変革は、コンピューター技術による情報処理能力の飛躍的な向上です。
人工衛星開発やアポロ計画などではコンピューターが活用されています。
実は、それを生み出したアルゴリズム(計算手順や処理手順)の源流はイスラム世界にあります。
人工知能の将来について、さまざまな意見があります。
情報革命は、私たちの生活に変化をもたらし、わたしたちの将来にも大きな影響を及ぼすでしょう。
社会や環境に与えた影響
人々の欲望や不安は、社会や環境にさまざまな影響を与えました。
ここでは、次の4つのキーワード
- 交流
- 信仰と思想
- 環境破壊
- 感染症
から考えてみます。
交流
交流には、生存するための協力、富を分かち合う平和的な交易や、富を奪う暴力的な戦争などいろいろな方法があります。
いずれにしても、異なる地域で点在する技術や知識が共有され、発展につながる共通点があります。
1つめは、「支配領域の拡大」という観点があります。
例えば、征服者の知恵を活用した支配者には、ペルシャ帝国を黄金時代を築いたキュロス2世や、世界最大規模の領域支配を行った、古代オリエント文化とギリシア文化と融合で知られるアレクサンドロスがいます。
2つめは、「グローバリゼーション」という観点があります。
戦争を通じて、中国からイスラム世界に紙の製法が流入します。
行政システムの整備や知識の共有に大きな影響を与え、イスラム世界の黄金時代を支えます。
十字軍を通じて、逆輸入された古代ギリシャの知識がヨーロッパが「暗黒時代」を抜け出し、大航海時代を経て、世界を支配する原動力になります。
奴隷貿易や先住民からの略奪によって、ヨーロッパ世界の繁栄がもたらされます。
3つめは、「戦争と交易」という観点があります。
例えば、モンゴル帝国の拡大は、ヨーロッパ世界には脅威を与えます。
その一方でシルクロードを開かれたものにし、東西をつなげる役割を果たします。
大航海時代の略奪から、営利事業と投資・投機へと経済システムが進化していく様子もわかります。
オランダとイギリスの覇権争いは、交易に不可欠な制海権の争いでもあります。
産業革命は、帝国主義の膨張を引き起こし、共産主義が生まれるきっかけになります。
第二次世界大戦やその後の冷戦、民族紛争につながる事がわかります。
機械化や効率化による拡大再生産は、20世紀のアメリカ文化に代表される大量消費社会の源です。
また産業革命は、戦争のやり方にも影響を与えます。
戦争を国家や社会ごと破壊する総力戦に変えていきます。第一次世界大戦がその始まりです。
信仰と思想
人類が余剰作物を手にしてから生まれた貧富の差と富への欲望は、統治システムを生み出します。
その過程で生まれた帝国、民主制は、現在の統治システムに残っています。
その一方で、武力で権力と富を手にしても解決できない問題があることを知ります。
反抗や裏切り、死といった不安や恐怖は解消されません。
人々は
「どのように生きるか?」
という普遍的な問いを持ちます。
そして、宗教や思想が生まれ、宗教家、思想家が出現します。
これは「物質の争い」に加え、「精神の争い」の誕生でもあります。
宗教と権力が結びつくことで
- キリスト vs. イスラム
- カトリック vs. プロテスタント
といった宗教対立や戦争も引き起こします。
生存競争で得た知識や技術は、イデオロギーと権力の結びつきも引き起こします。
例えば、戦争の世紀ともいわれる20世紀は、
- 民主主義 vs. 全体主義(共産主義、ファシズム)
のイデオロギー対立の時代でもあります。
その背景には、
- 産業革命で誕生した労働者階級
- 帝国主義による植民地支配
- 共産主義の恐怖
- 奴隷や移民などによる人種差別
などの複雑な背景がからみあいます。
また宗教や思想、プロパガンダの拡散には、文字や製紙、印刷技術の発明、マスメディアの広がりとも関わりがあります。
これらは、現在にも引き継がれている問題です。
環境破壊
農耕革命は、地球環境をコントロールするきっかけになります。
農作物を栽培する土地の開発、災害対策の治水などによって、地球の姿を変えていきます。
産業革命の工業化と都市化は、大気汚染や水質汚濁を引き起こします。
石炭や石油の化石燃料は、20世紀の暮らしを豊かにしました。
例えば、燃料や化学繊維、プラスチックなどは、私たちの暮らしに欠かせないものです。
しかし、気候変動という新たな問題を作り出しました。
気候変動は、自然災害の増加を引き起こします。
食糧や水資源の不足は、争いの火種になります。
人類は豊かさと引き換えに、自然環境や生態系を破壊することになります。
感染症
牧畜の始まりは、感染症との闘いの始まりでもあります。
動物から人への病気の感染は、農耕による定住に生活様式を変えたことがきっかけです。
集落や社会の成立、他の社会との関わりは、感染症の大流行を引き起こします。
例えば、
- スペインからの天然痘はインカ帝国滅亡の一因に
- モンゴル帝国からの黒死病(ペスト)は、ヨーロッパ社会を混乱へ
- スペイン人がヨーロッパに落ち込んだ梅毒は、世界中へ拡大。
のパンデミックは、人類に大きな影響を与えました。
21世紀に入っても、SARSやCOVID-19などのパンデミックは、私たちにとって深刻な課題の1つです。
ちなみにこちらの本は、人類の発展における重要な大変革について、考えを深めるのに役立ちます。
『暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病』
『サピエンス全史』
現在の課題に直接的につながる20世紀の出来事
BBC『大世界史』は、70000年を一気に振り返ります。
もう少しピンポイントに、現在の人類が抱える環境破壊や社会問題、外交問題などの背景を知りたい方に、ぴったりなコンテンツがあります。
「NHKスペシャル」で放映された『映像の世紀』です。
『映像の世紀』は、記録映像で20世紀を語った傑作のドキュメンタリーです。
そして動画配信サービスのU-NEXTでは、『映像の世紀』シリーズ3部作を視聴できます。
『映像の世紀』については、こちらの記事にまとめてあります。
もしよろしければ、こちらもご覧下さい。
おわりに
このように、BBC『大世界史』を視聴すると、人類が達成した偉業や、過ちなどについて、人々の協力や対立など、様々な角度から重要な出来事を見ることができます。
他の文化や社会、科学技術との関わり方は、現在も抱えている課題です。
またBBC『大世界史』は、人類の始まりから20世紀末まで、古今東西で起きた出来事やつながりを、幅広く扱っています。
このため、その時の興味や関心から、必要な情報や気づきを得ることができます。
この記事では、BBC『大世界史』の活用方法の一例をご紹介しました。
BBC『大世界史』を視聴する方法
動画配信サービスのU-NEXTでは、『大世界史』全8話を視聴できます。
さらに『映像の世紀』や『文明の道』など、良質なドキュメンタリー番組も配信してしております。
こちらもおすすめです。
この記事が皆さまの参考になれば幸いです。
なお本記事でご紹介している情報は、執筆時点のものです。
特典や配信状況を含む最新の情報は、サービス提供業者様のウェブサイトにてご確認ください。