【感想】『映像の世紀』新旧3部作を比較:近現代史学習にオススメ

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この記事では、「NHKスペシャル」の傑作である『映像の世紀』の3部作を紹介していきます。

この記事を読むと、次のような内容について知ることができます。

  • 『映像の世紀』の特徴
  • シリーズ3部作の違いとオススメ
  • シリーズ3部作を視聴する方法

さっそく『映像の世紀』3部作について見ていきましょう。

『映像の世紀』とは?

『映像の世紀』は、

  • 『映像の世紀』(最初に制作。1995年〜1996年に放映)
  • 『新・映像の世紀』(続編として制作。2015年〜2016年に放映)
  • 『映像の世紀プレミアム』(特別編的な位置づけ。2016年〜2020年に放映)

の3つのシリーズがあります。

『映像の世紀』シリーズは、20世紀の出来事を当時の記録映像と回想録で構成されています。

有識者のインタビューや解説はありません。

あくまでも、「映像資料」に語らせるというコンセプトで制作されています。

当時の映像が主役なので、近現代史を学べる教材として最適です。
受験勉強の教材として活用することもできます。

学校の授業で、『映像の世紀』を上映する先生もいらっしゃいます。

『映像の世紀』シリーズの特徴

ビクトリア女王の葬儀や2度に渡る世界大戦、東西冷戦、ベトナム戦争など、世界各地のさまざまな映像を通じて、民族対立や移民問題、経済格差などの現代社会が抱えるさまざまな課題の原点を知ることができます。

また、困難や差し迫った状況で問題解決に取り組む様子、あるいは不安で疑心暗鬼になる様子から、人間の「光と影」も映し出します。

情報発信という観点からは、フェイクニュースによる世論操作の原点についても考えることができます。

『映像の世紀』は「記録映像に語らせる」コンセプトが最も明確

1995年に制作された最初の番組です。
1回75分の番組で、全11回のシリーズです。

当時の映像や回想録、証言を重ねる手法で、淡々と20世紀を振り返っていきます。
後世の人々へのインタビューや、有識者による評論・解説はありません。

1回めから9回めは、19世紀末から20世紀までを時系列で追います。

  • 大英帝国の「終わりの始まり」から、総力戦の第一次世界大戦
  • 資本主義社会の原点となる大量消費やエンタメ産業の発展、バブル崩壊の1920年代
  • 冷戦の原因となった第二次世界大戦と、その後の米ソの代理戦争
  • 帝国主義や覇権争いが作り出した民族対立と難民問題
  • 外国の映像を使って「世界から見た日本」

特に、ヒトラーの演説と第二次世界大戦を収めた映像は必見です。
映像の雄弁さを感じます。

NHKスペシャル 映像の世紀

『新・映像の世紀』は登場人物の感情描写でメッセージ性が加わる

基本的なコンセプトや手法は、『映像の世紀』(1995年制作)を継承しています。

前作との違いは『新・映像の世紀』は、20世紀を生きた人物にスポットライトが当たることです。

『新・映像の世紀』では、人間の欲と暴力について考えることができます。

例えば、

  • ナチスに協力するアメリカ企業
  • 人間関係を破壊する相互監視
  • プロパガンダ映像によるコントロール

から、不安と怖れの感情が引き起こす人間の暗部が表現されています。

21世紀に制作された『新・映像の世紀』は、インターネット時代の内容もカバーします。
誰でも情報発信ができる時代になったことも伝えます。

  • マイノリティのYouTube発信
  • テロリストのプロパガンダ動画拡散

などを事例として取り上げられます。

その一方で、私達のような一般大衆が見ている情報は、あくまでも「編集」されたものであることが自覚できます。

NHKスペシャル 新・映像の世紀

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『映像の世紀プレミアム』は「テーマ」ごとに20世紀を振り返る

新旧2つのシリーズが合体した豪華版という触れこみです。
映像は両方の『映像の世紀』と『新・映像の世紀』を駆使しています。

『映像の世紀』と新・映像の世紀』は時系列で構成しています。

それに対して、『映像の世紀プレミアム』では「テーマ」を設定して、時代を串刺ししています。

制作や編集のコンセプトは、『新・映像の世紀』に近いです。

『新・映像の世紀』では人間の暗部だけではなく、エンジニア、アスリート、宇宙飛行士の映像やコメントなどから、困難を乗り越えていく人間の可能性を感じることができます。

最初に観るなら1作めの『映像の世紀』(1995年制作)を

このように、3部作それぞれに良いところがあります。

しかし、1995年に制作された1作めの『映像の世紀』を最初に観ることをオススメします。
次の理由は次のとおりです。

1作めの『映像の世紀』は、「当時の映像に語らせる」というコンセプトは、このシリースが最も徹底しています。

その編集方針は、コンテンツの解釈を視聴者に委ねているように感じます。

それに対して、2作めの『新・映像の世紀』と3作めの『映像の世紀プレミアム』は、人間から出来事を見ているので、感情の描写がメッセージ性を感じさせます。

2作め以降は、「ナレーション」の受け取り方が、好みの分かれ目につながります。

このため私は、客観的に考える「余白」や「スペース」を視聴者に与えてくれる最初のシリーズ『映像の世紀』をオススメします。

2作めの『新・映像の世紀』と3作めの『映像の世紀プレミアム』は、1作めの『映像の世紀』を観た後が良いと思います。

シリーズ3部作を視聴する方法

『映像の世紀』シリーズ3部作は、動画配信サービスかDVD・ブルーレイで視聴することができます。

動画配信サービス

動画配信サービスでは、3部作を27エピソードにまとめた形で配信されています。

『映像の世紀』(全11集)
『新・映像の世紀』(全6集)
『映像の世紀プレミアム』(第5集〜11集、13〜15集のみ)

長所は、ブルーレイやDVDディスクよりも安価に3部作を視聴できることです。
短所は、動画配信が停止する可能性があることです。

そして動画配信サービスのU-NEXTでは、『映像の世紀』シリーズ3部作を視聴できます。

DVD・ブルーレイ

『映像の世紀』と『新・映像の世紀』はリリースされています。
『映像の世紀プレミアム』はまだ発売されていません。

長所は、メディアとして「所有」できることです。
短所は、初回リリース時より安価になったとはいえ、まだ高価なことです。

NHKスペシャル デジタルリマスター版 映像の世紀
NHKスペシャル 新・映像の世紀

さらに学びを深めたい方へのオススメ

『映像の世紀』の3部作は、20世紀の歴史を扱ったドキュメンタリー作品です。
さらに世界史の学びを深めるために役立つ、2つの方法をご紹介していきます。

さらに歴史をさかのぼる

さらに時代をさかのぼったドキュメンタリー作品のオススメは、「NHKスペシャル」の『文明の道』です。

『文明の道』では、「人類は文明を超えて共存できるのか?」という問いについて、古代ギリシャからモンゴル帝国の歴史から答えをさが求めていきます。

当時の人々も、21世紀に生きる私たちと同じような課題を抱えていたことを実感できます。

『文明の道』のレビュー記事も書いておりますのでご覧ください。

【感想】『文明の道』を読み解くヒント:世界史の勉強にオススメ

世界史の通史を学ぶ

通史の学習は、歴史の全体像を理解するのに役立ちます。
全体像を知っておくと、ある出来事の原因と理由、結果の理解も深まります。

通史を学ぶオススメなコンテンツは、オンライン学習サービスの「スタディサプリ」の高校・大学受験講座です。

「スタディサプリ」は、英語の関正生先生などのカリスマプロ講師による動画配信が最大の魅力です。
世界史の担当講師である村山秀太郎先生は、世界100カ国以上を旅した経験を基に、臨場感あふれる講義をします。

講義動画は1本約15分単位なので、スキマ時間の活用もできます。

作家の佐藤優氏も、「スタディサプリ」をご自身の学び直しに活用されております。
受験生だけでなく、受験で燃え尽きた大学生や、大人の学び直しにも役立つのでオススメです。

まとめ:「映像資料」が語りかけるドキュメンタリーは必見

『映像の世紀』はNHKが制作したドキュメンタリー番組の代表作です。
最初のコンテンツが制作されてから25年を迎える2020年現在でも、高い評価を保っているのは驚異的です。

その価値を保っているのは、「映像資料」(と当時の回想録のナレーション)に語らせるというコンセプトにあります。

このコンテンツは、人種差別、移民問題 経済格差の課題を扱った大作なので、気軽に観るには「重たい」番組かもしれません。

しかし私達は、パンデミックをきっかけに、さまざまな課題に直面しています。

差し迫った事態は、人間の暗部も浮き彫りにします。

多くの国家や組織でも、疑心暗鬼を引き起こしています。
国際社会は、問題解決に一丸となって取り組んでいるとはいえない状況です。

このような困難をリアルタイムで経験している今だからこそ、ご紹介した『映像の世紀』は、20世紀に起こったことを見つめ直し、私達の在り方を考えるために役に立つコンテンツだと信じています。

お得な情報

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雑誌やムック本も対象なので、教科書や参考書を買う機会にも活用できます。
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なお本記事でご紹介している情報は、執筆時点のものです。
特典や配信状況などの最新情報は、各サービス提供業者様のウェブサイトにてご確認ください。