浮世絵鑑賞のおすすめ本ー入門者が簡単・効率的に鑑賞眼を磨く手引きに

浮世絵鑑賞おすすめ本_入門者が簡単・効率的に鑑賞眼を磨く手引き 書評

この記事では、浮世絵の鑑賞のポイントやその背景にある江戸庶民の文化を知るのにおすすめの本を紹介していきます。

これから浮世絵について知りたい方や、日本文化を外国人へ説明する方が、すぐに活用できる本を取り上げました。

この中からご自身にあった本を読むことで、浮世絵の鑑賞のポイントや魅力について、さらに知ることができます。

浮世絵の全体像を速習できるおすすめ本

まず最初に、作品、制作の技法、江戸庶民の文化など、浮世絵の歴史の流れや背景を分かりやすく解説した下記の本を紹介します。

『教えてコバチュウ先生! 浮世絵超入門』
『もっと知りたい浮世絵』
『浮世絵鑑賞事典』
『ようこそ浮世絵の世界へ』

これらの本を読むと、浮世絵の全体像を知ることができます。

『教えてコバチュウ先生! 浮世絵超入門』

浮世絵研究の第一人者で知られる、コバチュウ先生こと小林 忠氏の最新刊です。
この本では、浮世絵の魅力について、代表的な作品52点を取り上げて、講義口調で解説しています。

『教えてコバチュウ先生! 浮世絵超入門』

コバチュウ先生のトークは面白さとわかりやすくて定評があります。
そのコバチュウ先生のトークが、本で再現されているかのような面白さです。

初めて浮世絵の本を読む方に、最適な1冊です。

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『もっと知りたい浮世絵』

この本は、アート鑑賞に役立つ「もっと知りたいシリーズ」の1冊です。

『もっと知りたい浮世絵』

著者の田辺昌子氏は、浮世絵を専門とする学芸員で、日本有数の浮世絵コレクションを所蔵している千葉市美術館の副館長です。(2020年8月現在)

この本では、浮世絵が発展する流れや絵師の特徴がわかりやすく記述されています。
浮世絵について、さらに学びを深めるためのヒントがたくさん得られる本です。

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『浮世絵鑑賞事典』

著者の高橋 克彦氏は直木賞作家として有名ですが、浮世絵研究家としての一面もあります。
作家デビュー前は、美術館や大学での勤務経験もあります。

この本では、浮世絵鑑賞に必要な絵師、作品、技法などの知識を速習できます。

『浮世絵鑑賞事典』

最大のポイントは、代表的な絵師59人を取り上げ、絵師たちの作品と見どころをコンパクトにまとめているところです。

浮世絵鑑賞の知識を速習するのに最適な一冊です。

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『ようこそ浮世絵の世界へ』

この本は、浮世絵の専門家である太田記念美術館の学芸員 日野原健司氏が執筆した浮世絵入門書です。
絵師と主題、技法について簡潔で論理的に解説されています。
簡潔で論理的な説明を好む方におすすめする一冊です。

『ようこそ浮世絵の世界へ』

なおこの本の解説には、英訳がついています。
英語の勉強や、全国通訳案内士試験の勉強にも役立ちます。
また外国人に日本文化を紹介する機会のある方は、手元にあると頼りになる一冊です。

作品についてさらに深く知りたい方へのおすすめ本

次に、さらに作品について深く知りたい方は、このような興味深い本もあります。

『THE北斎 冨嶽三十六景ARTBOX』
『歌川広重保永堂版 東海道五拾三次 (謎解き浮世絵叢書)』
『鈴木春信―江戸の面影を愛おしむ (ToBi selection)』

それぞれの作品について、丁寧に解説された本です。

『THE北斎 冨嶽三十六景ARTBOX』

この本は、すみだ北斎美術館のオフィシャルブックとして出版されたものです。

『THE北斎 冨嶽三十六景ARTBOX』

そのタイトルの通り「冨嶽三十六景」全46図の魅力について、6つの視点から探求しています。

『歌川広重保永堂版 東海道五拾三次 (謎解き浮世絵叢書)』

この本は、浮世絵のコレクションでも知られる町田市立国際版画美術館監修の下、出版されたものです。

『歌川広重保永堂版 東海道五拾三次 (謎解き浮世絵叢書)』

「東海道五拾三次」全55図について、それぞれの作品の鑑賞ポイントとなる箇所を詳細で分かりやすく解説しています。

『鈴木春信―江戸の面影を愛おしむ (ToBi selection)』

この本は、さきほどご紹介した『もっと知りたい浮世絵』の著者である田辺昌子氏による執筆です。

『鈴木春信―江戸の面影を愛おしむ (ToBi selection)』

穏やかで上品な鈴木春信の世界観を、5つの切り口から探求しています。
春信の得意な「見立絵」(みたてえ。古典的な題材を江戸時代のように描いた)を読み解くヒントにもなります。

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浮世絵を「読み解く」手がかりになる本

こちらは浮世絵を題材に、江戸時代の人々の暮らしぶりを「読み解く」本です。

『浮世絵の解剖図鑑』

この本の特徴は、一枚の浮世絵を見開き2ページを使ってモチーフを「解剖」するところです。
江戸時代の人々の年中行事から娯楽、社会、絵師がモチーフに込めた「ほのめかし」の正体を読み解いていきます。

当時の日常生活などの背景を知ることによって、江戸っ子と同じような浮世絵の楽しみ方もできるようになります。
この本を読むと、浮世絵鑑賞が更に楽しくなるはずです。

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最後に

浮世絵は、日本文化の代名詞の一部です。
そして、歌舞伎と並ぶ江戸庶民の文化の象徴の1つでもあります。

ご紹介した本の共通点は、作品を取り巻く環境や歴史を知ることが、浮世絵の理解につながるところです。

浮世絵の背景知識を学ぶことで、作品の「見どころ」や「観察のポイント」も事前に知ることができます。
これらの本を読むことで、浮世絵を理解するための「体系的」な知識を、簡単かつ効率的に身につけることができます。

そして何よりも、浮世絵の鑑賞をもっと楽しめるようになります。
美術館での体験はもちろん、日本文化に関心のある外国人とのコミュニケーションもより充実したものになります。

【関連情報】「新版画」鑑賞のおすすめ本

新版画は、浮世絵の制作技術と西洋絵画の要素が融合された「浮世絵の進化版」ともいえる木版画です。

海外では浮世絵と同様に、新版画も高評価を得ている日本美術です。
特にアメリカを中心に、多くのファンやコレクターがいます。

新版画は日本でも再評価されており、近年人気が高まっています。
展覧会で鑑賞する機会も増えておりますので、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

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この記事が、皆様のご参考になれば幸いです。

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